輪郭

戦後。
職も何もなくて、どーしようかと。
で、油を作って売って。
会社にして。

結婚して子供出来て
孫が出来て
ひ孫が出来て。

やがて。

体は思うように動かず。

呼吸も。
辛く辛く。

ここ数日。
もはや看取りの時期。

ずっと担当してたから。
身体は自力で動かせなくとも。
やれることはある。

自力呼吸がもはや苦しいから
酸素入れながら

動かせない身体を安楽に。
圧を抜いて。
ポジションとって。

覚醒しないかと思ってたけれど。
開眼して。
名前を呼ばれた。

全部聞き取れはしないけれど
会話も出来た。

手を握って。

笑ってた。

わかってはいる。
死は変えれない。
終わることは変わらない。
いつもそう思って仕事する。
けれど
いつもいつも
無力感が込み上げる。
何も出来ないことの悔しさは苦しい。

僕には何も出来ない。

いくら機能訓練だ認知訓練だ、
なんとかセラピーだなんとか療法だ
なんだかんだと言っても。

人には超えられない壁を
ひたすら叩き壊すこと。

不可能だけれど。

悟れるほど賢くも善良でもないから
やれることはやる。

無力なことを知っていても。
やる。

僕はどこまでいっても人でしかないから。

神様にはなれない。

だから、いつだって祈る。

ずっとずっと。

死を超えることは
人間には無理だ。

終わることを始まりに変えることも。
僕には出来ない。

神のように出来るなら
なんでもしてやる。

けれど
そこまで思い上がれるほどの何かがあるわけでもない。

ただ手を握って。
ただ頷いて。
ただ祈る。

どうか。
幸せのうちを。
通って生きて始まって。

神様。
僕には出来ないから。
どうか。
あなたに。

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